中学生ぐらいのときに教科書で読んだような気がします。そのときは随分と感化されやすい男だなぐらいにしか思わなかったのですが、今はまた少し違うように思えます
iBooks で読みました
著者:芥川龍之介
あらすじ
羅生門、京都にある通りにある立派だった羅生門は京都が度重なる災害に見舞われて死体置き場となっていた。
その羅生門の下で途方にくれていたある男は一晩過ごすのに羅生門を上がってみることにした。死体しかいないと思っていた羅生門の上には灯りがあり、誰かが活動していた。
老婆が死体の髪の毛を抜いていたのである。その瞬間、男は色々な犯罪への憎悪が湧いてきて、それが目の前の老婆に向けられた。
男は老婆に死体の髪の毛を抜く理由を聞く、老婆はカツラを作るためだ。そうしないと餓死するから仕方ないのだ、という。
死体の女も餓死しないために悪いことをしていた、みな、そうしているのだという。
それを聞いた男はじゃあ、俺が悪いことするのも餓死しないためだから仕方ないなと言って、老婆の服を盗んで走り去った
その男の行方は誰も知らない
これがあらすじである。
以前と異なり、この男は日本人らしい気質だったんだなという感想を持ちました。
みんなしてるから仕方ないことだ
このニュアンスの言葉で、これまで抱いていた悪いことをすることへの恐怖が克服されて、勇気を出して生き残るために悪いことをすることができた。
(できたという言い方もおかしいが、今はそういう言い方にする)
そして引っかかったのが男の頰にある膿のあるニキビである。
なんの暗示がこのニキビなんだろうかと気になり、私は彼の迷う気持ちがニキビなのかと思いました。途中の気持ちが変化している場面、迷っているときはずっと彼はニキビを気にしているが、思い立ったあとの彼の記述にはニキビの表現がなくなる。
それまでうるさいぐらいに彼のニキビ、ニキビと繰り返していたのにピタリと止んだ
だから私は勝手に迷う気持ち、もしくは悪を疎む気持ちがニキビとして表現されているのではないかと思う。
そして、文豪ストレイドッグで太宰に憧れる芥川龍之介の表現があるが、現実は太宰治が芥川龍之介に憧れていたらしい。
言われてみれば書き方、1つ1つが納得できるのに繋がると少し怖いような気がする物語構成が似ているような気がします。
羅生門も、彼が門の下にいるのは時代が悪いから雨が降ってるから仕方ない。一晩過ごす場所を探す彼が羅生門に登るのも仕方ない。
死体あさりを見て怒りを覚えるのも仕方ない。
飢餓を避けるためには悪も仕方ない。
悪いことした男が逃げだすのも仕方ない。
逃げた犯罪者がどうなったかわからなくても仕方ない。
この構成でみると人間失格にちょっと似てる気がします。
ライトノベルのおかげで小説の読み方が増えた気がします。ちょっと楽しいですね
では、またねーヾ(*´∀`*)ノ